[#1] 2019年の抱負というわけではないですけども。

明けましておめでとうございます…ってもう5日ですが。
2月末にはニューゲームズオーダーの期末、9月にはB2Fの期末もありますし、春秋のゲームマーケットでもひと段落感あるので、
年中区切ってる気もするんですが(笑)、平成も最後ということで一応ブログ更新。

2018年は(もっとホイップをの生産トラブル等ありつつも)2006年にB2Fを起業して以来(まる12年になります)、
最も落ち着いて仕事ができた年だったかなと感じています。
欧風ボードゲームを中心に、国内の卓上ゲーム商業はどういった展開を見せていくかな…ということは日々イメージしていますが、
2018年は年初に予想していたことが概ね的を射ていたようで、常に一歩先に踏めているかなという余裕はありました。
まあ予想していた全体の流れ自体に懸念も少なからずあるので、楽々〜とは行かないわけですが。
どうあっても譲れませんよという勘所では厳然と周囲の流れに逆らう場面もあるかもしれませんが、
総体としては上手く折り合いをつけていくというか、良い距離感を取るというか、
そういったバランス感覚が引き続き課題になる気がしています。
「他所のことはちょっとわからないけど、ウチは意味のある仕事、ちょっと皆が嬉しい仕事、ツボ付いた仕事、するかんね!」
というのは変わらない目標です。
出来る限りは満場一致で褒められたいものですね(笑)。
「全員に喜ばれるのは無理だから〜」みたいなことをすぐ言う方いらっしゃいますが、
「すっごい上手くやれば、全員喜ばせられることもあり得るんじゃないかな〜」
とか楽観的な気持ちで仕事してた方が、結果として喜ぶ人数が増える気がしてます。

5年も前であれば、ボードゲームの出版、日本語版の出版自体が快挙として受け入れられていたのがウソのような現状ですね(笑)。
ボードゲーム出す、ってだけなら、出るようになった。なってしまった、と言いたくなる所もある。
ただそうなってるだけに、数年前にはあった、ボードゲーム一つ作って皆さんにお届けした時の
「おおっ!」という皆様からのリアクションを引き出すのは、むしろ難しくなってるな〜と思っているんでございます。
アイテムとしてはもちろん50以上も作ってきていますから、確立している仕事のやり方も当然あるんですが、それでも。
あのフレッシュな「おおっ!」というのを引き出したいんですよね。より大きな歓声を、より多くの方々から。
それを引き出すのに大切なことは、わかってるつもりでいるんです。
それは、何よりまず自分が何かしら「おおっ!」って思える物を作ることです。

一プレイヤーだった時分から、仕事にしてからはなお一層、たくさんのボードゲームを見てきたし、遊んできましたので、
そうそうは心が沸かないんですよね。「あ〜なるほどね」「そういう感じですか〜」「それはどうかな〜」
みたいな、冷静な感想に留まるものが大多数。
でも結局めっちゃ面白いものというのは、そういう大多数とは明らかな断絶があって、「おおっ、凄いな!」
という「やられた感」みたいのが何かしらあります。総合力勝負のものでも、一点突破みたいなものでも。

だから自分が手掛けるものでも、自分にそういう感覚が生じるまでは「出来上がらないなあ…」と思って、
何らか着想待ち、みたいな感じになります。通り一遍ゲーム用具揃えるだけじゃダメな気がしてます。
自分の中で「これは皆沸いてくれるんじゃないかな」という予感が来るまでは、割とたたずむ時間が多いです、最近は。
ホイップについても、自分の気持ち的にピンと来るまでは「う〜ん…」って言っている時間は結構長かったです。
ママダさんにラフを描いていただいて、意見交換をする中で「これだわ!」となったのが、
最終的に皆さんにお届けしてものになっているわけです。
出したものについては、誰より自分が「来たわ!」って思ってる気がします(笑)。

だから自分が制作した物については(もちろん作者ではないからだと思いますが)あまり謙遜しないというか、
基本自分が一番好きだと思います(笑)。「これめっちゃ良くない?良いよね?」という心持ちでいます。
もちろん盛り込み切れない要素、選べなかった方の方向性、様々あるんですが、
それは「ベストを尽くして出来上がったのがこれだからな〜」って気分なので、大抵あまり未練が無いです。
何かしらあればそれは次の製品作りに生かすか、そのゲームを大人気に持ってって、
大幅にアップグレードするチャンスを勝ち取れた時にまた考えれば良いさ、と思ってます。

こういう気持ちで制作をやってて思いますが、多分この性格はボードゲーム制作に向いてるんだと思います。
これからのパートについては妥協無くやりますが終わって確定したパートについてはくよくよしない(笑)。
だから仕事してて楽しいです。お陰様で喜んでいただけることが多いですし。

というわけですので、今年もボードゲーム楽しいよ、って方々に喜んでいただける仕事ができるように、NGOの存在するメリットを最大化する方向へと真っすぐに、頑張ってまいりまーす、よろしくお願い致します。

 

 

 


[#2] ワンフェスNGOブースにて「サタコマ3D」試験販売します。



https://twitter.com/higetoboin/status...2188340224
https://twitter.com/higetoboin/status...5771625472
https://twitter.com/higetoboin/status...1229405184

さて本日は、西山や広瀬の担当となっている、ニューゲームズオーダーの立体方面のお話をさせていただきましょう。
きたる2月10日のワンフェス・ニューゲームズオーダーブース(4-2-3)で、なんと!
冒険企画局さんのTRPG「サタスペ」のキャラクターを3Dプリンタで立体出力したミニチュアを、6体セットで試験販売させていただきます。
名付けて「サタコマ3D」。



さらりと言っちゃってますが、結構なニュースですね(笑)。ミニチュアゲームも好き、TRPGも好きと言う方なら飛び上がりそう。
この情報、作者の河嶋陶一朗さんのTwitterでは既に載せていただいています。こちらについて、以下に経緯をご説明差し上げます。

今回の話の発端というのは、ご存知の方も多いと思いますが、
西山が最近ニューゲームズオーダーに何台も導入しては試験運転を繰り返している「3Dプリンタ」です。
西山はキャット・シット・ワンのメタルフィギュアなどもそうですが、本人の手による造形物作りに仕事の傍ら取り組んできているわけですが…、
本業の製造仕事に多くの時間をとられ、なかなか造形作業に時間を割けないこともあり、
「自分が本業に取り組んでる横で作業を勝手に進めてくれる3Dプリンタは実に良い!」
と天啓を得たらしく(笑)、ここ数年はずっと、使い方や使い道をあれこれと研究していました。

最近はタチキタプリントのTwitterでも小出しにしている通り、「おお、こんなものが自動で?結構すごいぞ」
というレベルの物が比較的安定して刷り出せるようになってきているんですが、
一方でこの分野、次の段階に引き上げるには大きな課題があるね、と言う話が私と西山の間で生じてきました。つまり、

「どうやって使うのか」はわかってきたが、では「何に使うのか」?

3Dプリンタでの、ミニチュアゲームの情景モデルの刷り出し等については一定の見込みが立ってきましたし、これについては継続してやっていく予定です。
ただ、3Dプリンタを「活用する」というレベルでものを考えた時、これだけではいささか物足りないよなあ、と思っていたのも事実でした。
自前でミニチュアゲームの情景モデルをじゃかじゃか製造できるようになっているのは正直眼にすると隔世の感があるというかホント凄いんですが。

「立体が3Dプリンタで何とか出せるようになった今、『何を生産する』のが皆にとって嬉しいんだろうか、というのが最大の課題だと思うんだよね」
という問いを、私は西山にぶつけました。西山もそこは大きく課題に思っていたようでした。


それじゃあどんな物が良いだろう?と二人で考えてみた結果、自分達としては、

・卓上ゲームに関係する何か(自分達がその周辺にベースを持っているため)
・サイズ的にある程度小さい物(主に機材による大きさ上限の問題)
・魅力的なラインナップが想定できるもの(シリーズに対し継続的なニーズがあるもの)

と言った要素を押さえたいよね、という話になりました。
「メリット」と「実現性」を両立する点を自分達が見出そうとすると、自然この周辺となるということです。

そう考えていくと「3Dプリンタをいち早く活用、ということを優先して考えたら、プリントの対象物をゼロから作るより、
既に求心力として存在している何らかの卓上ゲーム作品の何らかのラインナップ」を考えてみた方が良いんじゃないか?

という発想に至ったわけでございます…ここらへんまさに、「人を喜ばせるのに、必ずしも全部自前で用意する必要はない」
という、ニューゲームズオーダーの考え方そのものですが(笑)。

で、さて具体的にどこらへんを?という話に移った時、私たちが「冒険企画局さんの『サタスペ』や『迷宮キングダム』、良いな…」
という発想に至るにはそう時間がかかりませんでした。

ディフォルメされたモブキャラがゴチャっと居る風景が魅力になっているということ、
作者である河嶋さんがミニチュアゲームへのご興味の深い方であること、
そして以前よりいくつかの案件で近藤さんとお話させていただいた経緯があること…。
クレムリンで速水螺旋人さんにイラストをご担当いただいたこともあります。
何より冒険企画局さんが「新しい企画にたいして常に前向きにお考えいただけること」というのが大きい。
「魅力的な作品の権利を持っている」主体となると、大方は我々のような者が外野からお話を持って行っても門前払いですので(笑)。
その点冒険企画局さんはオープンマインドでお話を聞いて下さるのみならず、こちらの企画意図についてカカっとご把握いただけ…、
トライアルということではございますが、今回の販売が実現する、予定ということです。
予定と今いったのは、今なお目の前で3Dデータの改良作業をやっている西山を目の当たりにしているからですが(笑)。
ディフォルメフィギュアのデータ改良、なかなか天竺でございまして…。

とまあ、ボードゲーム制作にほぼ専念しつつ横から口だけ出している私吉田からこんな感じです。
私としても、技術革新がTRPGやミニチュアゲームの遊ばれる風景に大きな影響をもたらして、
ゲームの楽しみ方に新しい可能性が生じるとしたら、そんなのは万々歳ですので。大いに期待しているところです。
今回の試験販売、ニューゲームズオーダーの3Dプリンタ、現状の進捗こんな感じっすよ!
というレポートの性格が強いので、「そんなん俺によこしなさい」という新しモノ好きの卓上ゲーマーの皆さんは是非チェックしていただけると嬉しいです。
あ、あと6体セットで予価5000円と発表されてましたが、価格のほう何か検討中らしいっす!

 

 

 


[#3] B2F店舗の臨時休業のお知らせ

2月16日(土曜日)は、立川のB2Fゲームズ店舗は臨時休業とさせていただきます。
ご確認をお願い致します。

 

 

 


[#4] 実は10NGO

2月も終わり…ってことで、ニューゲームズオーダーは2009年の3月に立ち上がってるので、
今月終わりで満10年やってきたことになります…確か(笑)。
やっぱり特に何も催す予定もなく、粛々と各種の出版プロジェクトにあたっておりますけれども。

立ち上げ当初のことを大まかに振り返ってみますと。
自分達が価値があると思っているボードゲームを始めとした卓上ゲーム普及、状況好転に、
いっちょ大きなインパクトを与えるような動きがしたいよね…息してるうちに、と思い、
その当時できる中では最大限規模の問屋営業から始めました。
メディチとか魚河岸物語とか、ケット・ザ・レーザーゲームとかですね(笑)。
当時全然日本の売り場に無かったティチューやトーレスなんかも扱っていた中、
現在ニューゲームズオーダーの発注リストに唯一残っているのがマタゴー社のクロノスという(笑)。
当時の在庫が未だにいるわけですが、今思ってもクロノスは良いゲームだと思うし、
昨今出版されている長時間ボードゲームの何らかの画一化を思うと、「すごく良いゲーム」と言っても良い気がしています。

で、今では契約が終了して取り扱えない状況になっておりますが、ロール・スルー・ジ・エイジズの日本語版の出版を1期目からやって。
税込3600円という価格設定、今思っても初っ端からなかなかいい仕事してたな過去の自分達と思いますが、
確か当時は今よりはるかに円高だったんですよね。1ドル90円近辺とか。
こと自分達に限って言えば、この円高のお陰でボードゲームのローカライズが始められた感はありました。
ロール・スルー・ジ・エイジズ、1000部製造で3600円、でも、当時の自分達にはホントに大勝負だったですから。会社の有り金はたいてやっていた。

…って、振り返り出すと長くなりそうなので今日はこのへんにしておきましょうか(笑)。
気が向いたら続きを書きます。ともあれ10年、出たとこ勝負が上手く転がって今みたいになっております有難うございます、

 

 

 


[#5] ゲームマーケット19春に向けて。

すっかりお久しぶりの更新になってしまいました(笑)。
こちらのブログ、自分にとって非常に重要なものだとは思っているんですが、
ボードゲームですとか卓上ゲームを取り巻いている現状を踏まえて、自分が何をどう文章で発信しようかな、
と考えますと、なかなか一つ文をアップしようという気持ちにも至らず。
立川にご来店の方なんかとは、以前と変わらず十割の出力でお話してるんですけどね(笑)。
目の前にいるお一人に向けて、その人の状況に照らして、その人と自分の関係性を踏まえてであれば、
いくらでもお話はできるんですが。
不特定の人にどーん、というのは、ぱっと見でも界隈にいらっしゃる人が増えた分ちょいと重いですね。
まあ増えてるからこそ、誰かしらにそれを貫くようなことを言って欲しくなるものだから、
やっぱり思ったことは言ってった方がいいかなとも思いますが(笑)。

前回の東京ゲムマでは…「もっとホイップを!」を発売したんでしたね。
お陰様でご好評をいただき、売れ行きも好調です。
シンプルで遊びやすい面白ゲームですが、一方で駆け引きの難しさはそのまんま、
という物ですので、このゲームを今受け入れていただけたのは、すごく嬉しいです。
本格的に取り組みだしても20年とか、続けてきて良かったですわ〜。
自分達が好きな面白いゲームを出版して売って、それで収益を上げて続けていけるというのはね。
理想的です…もちろんホイップほど三拍子そろったものを作り続けられてきたわけでは全くないですが(笑)。

さて、もうそろそろ次のゲームマーケット…ということで、一応新製品を用意しておりました。
毎度ながらのカツカツ進行で出せるかどうか社内では危ぶまれておりましたが(笑)、ようやく何とかなる気がしてきたので、
そろそろ発表したいと思います。
前回はゲームマーケットのカタログが発売されるタイミングで発表せざるを得ずくたびれたので、今回はカットにも書きませんでした(笑)。
他でもしばしば言われているとは思いますが、ボードゲーム出版の現状がゲームマーケット合わせのリリースにこだわる重要性は後退しています。
ですがまあそれはそれ、ゲームマーケットでリリースできるのは10年経っても15年経っても嬉しい所でもある…、
というところで、今回出すゲームが2019年のボードゲーマーの皆さんに新たに楽しんでいただけたら、すごく嬉しいです。
ということで、次のエントリで発表しま〜す。

 

 

 


[#6] ボードゲーム「スクエアオンセール」をゲームマーケットで発売します。



http://www.newgamesorder.jp/games/squareonsale

ということで表題の通り、ニューゲームズオーダーの一員である沢田大樹が作ったボードゲーム、
古い人ならよくご存じだったりもする「スクエアオンセール」を製品版として発売します。
お待たせしました(笑)。2005年のゲームマーケットで初めて売ってから、14年経ちましたね。
バーコードが付いているスクエアオンセールをやっとようやく出せることになりました。
アートワークは、同じく沢田作のカードゲームであるゴー・ストップ以来のご縁でun&co.の橋口貴志さんにお願いしています。
箱のサイズは曼荼羅と同じです。

ゲームマーケットで販売開始し、会場価格は6000円を予定しています。
今回初版生産数は1000部だけでして…現状会場には500部ほど持っていく予定です(ブースに置ける数量の都合)。
検討はしたんですが(会場の電波状況等の関係上)今回ご予約は受け付けないことにしました。
当日のスクエアオンセールご購入は原則お一人様1点のみとさせていただく予定です。

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さて。…毎度ながら説明の切り出しに悩みますが、今回は特にそうですねえ。
このゲームをご存知ない方はさしあたり上のリンクに説明書のPDFダウンロードもありますので、
よろしければそちらもご覧ください。

話すと長くなるので最初にざっくりと言ってしまうと、作者の沢田は私吉田の中高の同級生でして、長らくのゲーム仲間でした。
今年私40ですから、25年以上ゲーム仲間ということになります。中3の時分、私たちはTRPGから卓上ゲームを盛んに遊び始めまして。
私がある日同級生のうち「これは」という四人を選抜して学校の図書室に呼び集め、「今後この五人でゲーム遊ぶから」
と言い放ってサークルを結成するという、なかなか電撃的なムーブをかましたのがきっかけですが(笑)。
そのうち一人が沢田で、少し後に「ドイツのボードゲームを遊んでみたい」ということで、
トライソフト版の「カタンの開拓者たち」を買ってきたのも彼だったと思います。
動機は当時のTRPG誌の一つ「電撃アドベンチャーズ」に連載されていて自分達の中で圧倒的話題だった
「榊涼介&林正之のマルチプレイ三昧」というボードゲーム紹介の記事でした。
(今思い返すと、自分達の求めていたゲームプレイの感覚とあの記事の良い意味でのふざけ方は絶妙にリンクしてるかもしれません)

その直前には「何か面白いらしい」ということで英語版が入ってきて間もないころのM:TG、
マジック・ザ・ギャザリングをなけなしのお小遣いで新所沢のポストホビーで買ってわけもわからず遊んでみたりもしてましたが、
「これは面白いけどめっちゃお金がかかる、中学生には無理」という理由で早々にピリオドを打ち、そのしばらく後でドイツボードゲームを始めたのでした。
マジックについては止めるにあたり「こんなカードが臭いゲーム、自分ら位しかやらんだろ〜(笑)」とネタにしてたんですが、
(当時のカードはインク由来なのか独特な匂いがしてたんです)
半年か一年くらい経ったら学校で大ブームになっていて、何が起きたのかとめちゃくちゃびっくりした記憶があります。
後で「アイスエイジから日本語版になるらしい」と聞かされた時も「まさかぁ!」とみんなで爆笑してた記憶があります…って思いっきり脱線してますが(笑)。

カタン、さらにはその後遊んだモダンアートに衝撃を受け、高校時代以降自分達はTRPGからボードゲームに重心を移していきました。
単に面白かったというだけでなく、大学受験もあり、集まる予定を合わせるのも難しくなってきた自分達には、
準備に手間がかかるTRPG以上にボードゲームの便利さが上手くはまったというのもありました。
その間にも沢田がどうしても遊びたいというので持ち込んできたパラノイアRPGで盛り上がったりもしてましたが(笑)。

仲間うちでもボードゲームに特に熱心だったのは沢田で、自分はいつも沢田が聞きつけては手に入れてくる傑作ゲームを遊ばせてもらう側でした。
その当時から自分は「こういうゲームを広める仕事を将来する」と豪語してましたから、自分も勿論ずいぶん本気だったんですが。

互い別々の大学に進学して休日集まってた時でしたか、沢田に唐突に聞かされてびっくりしたことがあって、それが
「自分でボードゲームを作って、それをドイツのコンペティション『ヒッポダイス賞』に応募してる」という話でした。
それが沢田がバルバロッサにインスパイアされて作った「造形家倶楽部」、後でB2Fでディフェンダーズオブクレイアートとして出したゲームでした。

http://www.b2fgames.com/article.php?s...cobushiEra

初めて聞かされた時、加えて「そこそこ審査通過してるんだよね」という事後報告を受けてひっくり返ったものでした(笑)。
自分でゲーム作るばかりか、それをドイツのコンテストに応募しちゃおうというこの行動力。
「ドイツ語できるの?」と聞いて、「いや英語で応募できるのよ」「ああ…いや英語でもしんどいわ」と話した覚えがあります。
その時の結果は佳作ということだったんですが、それでも凄いな、仲間うちにボードゲーム作って海外に出ようって人がいるよと感心しきりでしたし、
その沢田の動きに刺激を受けたことが、「よっしゃ、これは自分も本気で頑張らねば」という気持ちを固めた大きなきっかけでした。

そして、その次に沢田が繰り出してきたのが「スクエアオンセール」でした。これをまたヒッポダイスに出していると。
そして、忘れられないんですが、初めてこれを自分達に見せてきた時に沢田が言った言葉がありました。
「今回は結構上手くできた」と。

ずっと一緒にゲームをやっていて、遊んだゲームについて皆でああでも無いこうでも無い、と日夜語り合っていましたから、
沢田の人となりはよくわかっていました。自分達は「何でもかんでも気軽に『面白い』と言っちゃいけないな」と考えました。
面白いゲームは、本当に面白い。語彙が限られるから思わず「面白い」言っちゃうんですが、本当に面白いゲームを面白く遊べたときの感動のことを思えば、
「まあこれはこれで良いんじゃないの」くらいのニュアンスで「面白い」って言っちゃうのは良くないな、と。
一人一人「面白さ」の定義、感覚には重なる面も異なる面もありましたが、その言葉を大切にしようということは自分達の絶対的なコンセンサスでした。

特にそこへのこだわりが強かった沢田が、自分が作ってきたゲームを指して「上手くできた」という。
つまり面白いゲームになってるんじゃないかという手ごたえを持っているということで…。
そのフレーズに自分は「何か重大なことが起きてる、これは」と思いましたし、その場にいた全員そんな感じでした。
自分が「…やってみよう」と答えて、一同初めて、スクエアオンセールを遊びました。

遊び終えて…、第一声自分が言ったのは、「…これは大賞だと思う。大賞だよ」という言葉でした。
「これをライナー・クニツィアが作った、と言われたら信じるよ」とも言った。
それ程、このゲームは自分達にとり、圧倒的に面白かった。自分のゲーム仲間が、めちゃくちゃ面白いボードゲームを作った!
それはもう、衝撃でしたし…、どうしたら良いんだこれは、という急き立てられる気持ちも、湧き上がってきました。
この日本のボードゲーム状況でこの沢田、このスクエアオンセールという、圧倒的な「宝の持ち腐れ」、どうするんだと。
ボードゲームの良し悪しについての話がほぼ普及浸透してないこの日本で、自分は一体何ができるんだ、どうしたら良いんだと。
この明白たる価値と、その価値に対する世の無関心、この断絶を、どうしたら解消できるのか?

沢田が言ったのは「とりあえずゲームマーケットで売ろうとは思うんだよね。99個」と。
ヒッポダイスの応募規定で、100個以上流通させたものは発表済みと見なし対象外となるとのことで、
だったら99個ならいいってことだね、という。
具体的にどうしようかと話している中で、自分は「せっかくだから、木の駒とか自分達で製造して、本格的に作ってみない?」
と切り出しました。

沢田初め一同「それはもちろん興味深いし出来るなら是非やりたいけど、製品作りのノウハウとか全然無いのはどうするんですか」という反応でした。
当時イエローサブマリンの新宿店でウォーハンマーの販売を担当していた自分には、ごく薄っすらとでしたが、心当たりがありました。
「店の客で、西山さんという、製作系の専門学校行ってる若者がいるんだけども…」と。


ええ、今回はざっくり書いて一回で終えるつもりだったんですが、やっぱり長いので(毎度ながら)1回切ります(笑)。
スクエアオンセールというゲームが自分達にとって色々ターニングポイントとなったゲームだったわけですが、
「このゲームの発表きっかけで西山昭憲、タチキタプリントの西山が加入した」ということは、その最大のポイントでした。
ということで、ニューゲームズオーダーのエピソード1的なお話、続きをお待ち下さい(笑)。

 

 

 


[#7] スクエアオンセールの話、その2



気付くともう明後日にはゲームマーケット当日!スクエアオンセールの話、続きを書かねばなりませんね(笑)。
私吉田が西山に製造担当の白羽の矢を立てた経緯、その理由…ってことですが。

先日書いた通り、私は新宿のイエローサブマリンの地下1階のウォーハンマー専門フロア、通称「地下サブ」の担当者でした。
その前はMTG等を扱っている標準的な店舗で勤務してたんですが、その店が閉店することになり、
元々私が数年中には会社を辞め起業するつもり、ということを知っていた当時の上司Aさんが、
「普通にカードショップに異動するか、ウォーハンマーのフロアに行くかどっちがいい?」と希望を聞いてくれたんでした。
当時のイエローサブマリンではボードゲームの仕事など無いに等しく(笑)、まだしも新しいゲームジャンルについての見聞を広げたい、
ということで「ウォーハンマーの方でお願いします」と答えたのでした。

ウォーハンマー担当の勤務はどう考えてもイエローサブマリンの平均的な店舗業務とは異なるもので、言わば
「ゲームズワークショップ流」の対面接客を取り入れて、いらっしゃるプレイヤーの皆さんとコミュニケーションを深めつつ販売する、
という「街の模型屋の親父」的なやり方で取り組む仕事でした。
元々しゃべるのは全く苦手ではないので、ここに自分流のやり方をミックスさせながら働くことができ、
ウォーハンマーのプレイヤーの皆さんと顔見知りになっていきながら取り組んでいったいきました。

西山は、その店のお客さんのなかでも最年少といっていい一人でした。
多分初めてしっかりと存在を認識したのは自分が24、彼が19の頃だったかと思います。
当時彼はウォーハンマーの大きなゲームサークルのサブリーダーをやっていたようなんですが(本当に詳しくは把握してなかったですが)、
サークル内のイベント開催やら様々な調整の役割でにっちもさっちもいかん、みたいな感じになってまして…。
周りの年長のプレイヤーからはしばしば「西くんがやるって言ったこといつまで立ってもやってくれなくてうんぬんかんぬん」
みたいなクレームめいた話を小耳に挟み、彼が来店した時に「●●さんたちからこんな話がありましたよ」と知らせたり。
思い返すと当時の彼は、今と変わらず色々な頼まれごとに忙殺されていて疲れ切ってる風でした。
三つ子の魂というか、彼の現在のタチキタプリントの仕事ぶりと根本は同じというか(笑)。
何かと「良いですよ、俺がやりますから」と厄介ごとを(自分のキャパ以上に)しょいこむ性分で、
なまじっか小器用に(彼が当時自分を指して「小器用」「器用貧乏」とよく言っていた)できてしまうものだから、
周りの調子のいい人たちは色々なことをどんどん彼に押し付ける形になっていたりもし(笑)、
でも結果やり切れなくて空手形となりモメる、みたいなあまり心躍らない渦中にいました。
「あんまり色々安請け合いし過ぎない方が良いんじゃないですかね…」という自分の忠告を、彼は楽しくなさそうに聞いてたものです。

聞いていると西山は「自分としては製作系の専門学校に行っているので将来的に卓上ゲームとかホビー関連の仕事がしたい、とは思ってるんですけど…、全く口が見当たらない。自分絵も下手だし劣等生なんで」
と言っていた。
イラスト等の授業も学校ではあるけど、自分はクラスで一番下手な部類だという。
どんな感じなんですか、と見せてもらうと…まあ…、「確かに」と思ってしまう感じでした。
少なくとも、明らか才能があるようには見えなかった。

「デザインとかイラストとかでは勝負できないんで、造形のことを勉強したり製造関連の知識を入れたり、細かく動いてはいるんですけど…(溜息)」

といった、出口が見えない相談を聞いたりしていたのでした。
まず、西山に特別際立つ才能があるようには、(本人が繰り返しそう言ってましたが)見えなかった。
あと性格的にも相当悲観的と言うか、エンターテインメントに従事するにはちとネガティブ発言多すぎないか(笑)、
という印象も自分にはありました。
まず彼の専門学校卒業後の仕事の口が見えない、という話自体無理もない話で、そもそもその当時、
製作系専門学校を出てホビーゲーム製作の職場に入る、という「前例」自体が無いと言って良かったと思います。
人材としてのニーズが具体化していない。誰かにそういう仕事をしてほしい、という発想を持っている人自体がぱっとみ見当たらなかった。
仕事に就くというより、仕事を創造するというレベルの話で…「普通に考えて無理っぽくないか?」と。
彼はそんな中、手がかりを探し方々を当てもなく歩き回っている、というような状態でした。


スクエアオンセールの話が始まった時、自分は西山のことを思い出したのでした。
「儲からなさそうなボードゲーム」と「儲からなさそうな就活生」を掛け合わせて、何かを始めることはできるだろうか?

西山を知る(そして自分のボードゲームメーカー設立の意向を知る)他のお客さんたちにこのアイデアを話すと、
大方は「うーん、西くんで大丈夫なの、吉田くん的には?ちょっと心配になるけど…」という反応でした。
自分としても、わからなくはなかった。人のことを言える立場じゃないですが、なかなかとんがった若者だし、すぐ自暴自棄な発言するし…。
自分としても、躊躇われるところはあったんですが、ただ自分が「いや、やっぱり西山さんと組むしかないな!」と思う絶対的な点が一つありました。
それは、自分が最も大切で、強みに感じた、西さんと自分の共通項でした。


それは、彼が「悔しさをごまかさない、悔しさを噛みしめている人間」」だったということでした。
彼は「自分はうだつが上がらない人間だ」といったことをいつも言っていた。「だから人の何倍もやるしかない」と。
「ウサギとカメで言えば自分はカメ」みたいなことを口にする人はよくいますが、西山を見る限りにおいて、本当のカメはそうそういない。
そういうことをいう人は大抵「足が遅いだけのウサギ」だなと。
彼のように、本当に何倍もやってウサギに追いつこうとするカメを見たことは無かった。
そのカメが全速力でのろのろ走るときの形相を、他に見たことが無い。
「そのスピードじゃ、何倍やったって追い付けやしないよ」という、世の中全体から聞こえてくるような声に、一向に耳を貸さない。

「うるさい、今に見ていろ!死ぬまでやってやる、死んでもやってやる、やれる限りをやってやる!」

それだけで動いていた。

彼のことを良く知るにつけ、「珍しい若者だ」と自分は思いました。「そこだけが、自分に決定的に似てる」と。
イエローサブマリンの売り場の中で、ほぼオマケで置かれているかのような、利益をほとんど期待されてない存在の、ボードゲーム。
社内で「ボードゲームの扱いってもう少し大きくなっていかないんですか」と聞いても、
先輩たちの答えは「ボードゲームで店出来る程の利益出すのは無理だね」という断定的なものでした。
そしてその当時の自分には、それに反論できるような根拠のあるものは、何一つ無かった。
それが悔しかった。自分はボードゲームの面白さを、価値を可能性を、知っている。確信している。
ただそれを現出させる手立てが無い。糸口も見えない。そんなさなかでした。
根拠なんて無かったわけですが。
「必ずやってみせる。やってみせる!自分の命を薪にくべてでもやってやる!!」その時の自分は、その思いだけで生きていました。


「ボードゲームは絶対面白いのに全然広がってない、商売にならない。それを変えたいんです」
と言う構想、理想を本気で語った時、西山の反応は強いものがありました。
基本的に「このままじゃ我慢ならんからひっくり返してやりたい」という論法になるんですね、我々は(笑)。
自分の仲間の沢田が作ったスクエアオンセールというゲームがあって、これを99部作って売りたい。
このゲームには今までの状況を変えるかもしれない力があると、自分は感じている。
今まで以上のパワーをかけたいと思っているが、製造のノウハウがある担当者がいない。
今は仕事なんてレベルじゃないが、将来的には仕事にしていけないかと思って取り組んでいく。
仕事にするには、商品の価格と売れる数、その両方を何倍にもしていかなきゃいけない。
だから今回のスクエアオンセールは木製駒を自分達で製造手配して箱入りにして4000円にする。
西山さん製造やってくれませんか。今はウォーハンマーの、いわば遊びの活動をやめて、
仕事に繋がるかもしれないことに全力を投じるべき時間じゃないか…。

西山の答えは「…やってみましょうか(溜息)」でした。


この1、2年でニューゲームズオーダーを知った人達からすると、自分達がこんな感じの泥臭い
(というか泥そのもののような)成り行きで組んで現在に至ったということ、経緯自体知らない人もいたかもしれません。
元々自分達はゲームマーケットの小型ブースに居たんです。
というか小型ブースの島が形成されていった、とっかかり辺りの集団です。
小型ブース界隈で、一番目の色違った集団だったんじゃないかなと。
「上手く転がったら仕事になったりして…」なんて前提では無く、いつでも「仕事にするための逆算」をしていた。
仕事が欲しいという話じゃなく(仕事がしたいだけならボードゲームの仕事をしなきゃいけないわけではないですから)、
この界隈に仕事になりそうな規模と品質を多少なりと持ち込もうとしなければ、ボードゲーム専任の様々な係をフルタイムで置けない。
「大人がフルタイムで働いていられるレベルの収益性に向かわなければならない。理想のゲームを作ることをあきらめない限りにおいて、最短距離で」
これは自分の結論であったし、西山の望む未来というのは、この構想にフィットするものだった。
利害が一致したのです。

自分は西山と沢田たちサークルのメンバーを引き合わせ、「西山さんです。彼に製造やってもらいます」と言いました。
沢田は「はい。よろしくお願いします」という返答。西山「よろしくお願いします」
親交を暖めるような時間も持たれず、一同2005年のゲームマーケット出展に向け、スクエアオンセールの製造に着手したのでした。
この集団の社交辞令とか無駄が無い感じは、今にしても自分は好きですね(笑)。


というところで今日は切りましょう。
この後の2005年スクエアオンセール(あの時は「スクウェアオンセール」でしたか)の顛末については、
多分当時の沢田の記述なんかを掘り返せば出てくる気がしますが、それ以前の話を大体話しました。
いや〜。こっからたいへんだったんですよね、ホントに!ちょっと次回書くまでに当時の記録探して次回リンクでも貼ろうかと思いますが、
ゲームマーケット後になるかもしれません。ともあれ我々の15年に渡る執念の総決算であるボードゲーム、
スクエアオンセール(こんな小奇麗になっちゃって、という沢田の言が先日ありました)、是非よろしくお願い致します。
うん、つまり全員買って!

 

 

 


[#8] スクエアオンセールの話、その3



さてゲームマーケット前日ですね!社内も出展準備でただ今バタついております。
年を経て用意しなければいけない物品が非常に増えまして、会場への搬入に見落としが無いか〜、みたいな話が大方ですね。
この期に及んでスクエアオンセールを持ってかない、みたいなやらかしは流石に無いと思いますが(笑)、忘れちゃいけない物が細かく色々と。
2日開催になってスタッフのスタミナ配分も難しくなりました(1日だけの参加にしたいという本音)(あと年1回の方が良いのではという本音)。

スクエアオンセールの発売発表後、お陰様で結構ご反響いただいております。有難うございます。
昔話以外の話題でいうとタイトルの表記の件、当時は「スクウェアオンセール」だったかと思います。
(「スクウェア・オン・セール」だったかもしれない)
今回橋口さんにパッケージをご作成いただいたものを拝見したら「スクエアオンセール」となっていました。
沢田に「正式名称はスクウェアだっけ?あと中黒は入れるべき?」みたいなことを聞いたら「別にどっちでも良いです」
という大らかな返答があり、結果スクエアオンセールになってます。


さてそれでは、昔話の続きを…ということですが、昨日も書いた通りここからは以前にも皆さんの目に触れてきた部分が多いでしょうかね。
西山に製造を任せ、しかしいったいどうなるものなんだろうと私も沢田も見守っていたわけですが、
仕様の要望や予算、ゲームマーケットの日程から生じる期日、といった課題を設定された後の西山は、
てきぱきと実務を進めていきました。自分としてはミーティングの日程を調整して、その度毎に西山に進捗を報告してもらい、
課題や沢田からの要望(そしてもちろん自分の要望)を出してそれをフィードバックして…、という手順。
話し合いもスムーズに進み、自分としては嬉しい誤算というか、「おお、立ち上がりから結構良いチームワーク」という感想でした。
沢田たちからすると、「この西山さんという人は、自分達が持たない方法論で動ける人なんだな」という信頼感を醸成する時間でした。
なお一言言っておきますと、この時点で「報酬」みたいな概念は全くありませんでした(笑)。
当時のゲームマーケットの状況ではそんなものはあるわけもなく…「ゲームが売れて儲かったら…」みたいな仮定の話がまずありませんでしたし、
西山にこれを依頼して、やってもらったからいくら払って…みたいな、そういう話題自体が無かったし、
全員それで当然だと思っていた気がします。
まあ自分以外全員学生だったというのもありますが、報酬5000円みたいな範囲でギャラ交渉みたいなことしても時間の無駄だし、
とにかくゲーム作って売れてから考えましょうや、という気分でした。
何よりの報酬は「ボードゲームを作る」という冒険への参加と言いますか…。

着手早々チームとしては順調に機能し始め、それは手ごたえはあったんですが、
一方でやろうとしていることの難度ははてしなく、「頑張ってはいるんだけどお話にはならん!」という状況が続きました。
何といっても大ボスは国内で製造できる工場を探した木製駒で…、予算とコストの開きがもう酷かったですね。
とりあえず駒1個あたりにかけられるコストを仮に「10円」と設定し、西山が作ってもらえそうな製造業者を見つけては見積もりをお願いする、
という感じだったんですが、最初の段階で「80円」という返答が来た時の絶望感は忘れられません。8倍(笑)。
かなりしんどい状況だったんですが西山がひたすら探し回った結果「13円」でやってもらえる業者さんを見つけ喜び。
…ただその13円、というのは、向こうの業者さんが納品を躊躇する位、本来入れねばならない工程をすっ飛ばしたもので、
当然ニスもかかっていなく色ムラもあり、加えて乾燥時間が不足していて納品してきた時点でしっとりしている、という有様。

当時西山から預かったサンプルを、新宿に呼び出した沢田に見せた時の沢田の「う〜ん…」という反応。忘れられません。
何せ30分「う〜ん…」しか言いませんでしたから(笑)。一方にはずたぼろで何とかここまでこぎつけた西山の姿が見えていて。
目の前には「これじゃいかんよなあ…」と思いつつもそれを口に出すことも躊躇われる沢田の姿があって。

「ギリギリのコスト計算で1個10円!」と言って作った駒がどう逆立ちしでも1個13円(三割増し)で、
しかも出来が全然満足に及ばないという現実。自分のボードゲーム作りの出発点はこの風景にあります。
スクエアオンセールという面白いゲームが身内から出て、ここに一個巨大なアドバンテージがあってもなお、これだけ理想と現実の開きがある。
今思い返すと…、スクエアオンセールというゲームは必要な駒の数が非常に多くてですね(笑)。
当時自分は「ボードゲームを生産するってなんて難しいんだ…所詮自分達には無理ってことか」
と悩み苦しむ日々だったんですが、2019年現在コスト計算した感想が「おいこのゲームめっちゃコスト高じゃんか!」という…。
当時の自分達が単純に力不足だったからというだけでなく、元々作るのがしんどい部類の仕様だったんですね、このゲームは。

ただその時は、沢田のOKがはっきりと出ないまま、その13円の駒でのリリースに進みました。
沢田には30分後「自分としては、これで出すから。文句が出たら、吉田の判断だった、吉田の責任だと言ってくれ」と言いました。

不格好でも、現実を受け入れて前に進まなければ。そうしなければ何も起こせない。
このゲームを遊んでみてもらいたいから、力及ばなくても、まず遊べるものとして発売しなければいかんわと。
本気の本気で全力尽くしたら、小規模でもとにかく世に問うて、課題についてはまた次回頑張ろう。
そういうことだなあという確信が、この2005年のスクウェアオンセールを通じて、自分達に刻まれました。
色んなものが足りない中で何とかして良い形のゲームを出そうとしますと、選択の幅ってのはほとんど無いんですよね。
選択肢を増やせる余裕、その力の源というのは、発想であり、スキルであり、チームワークであり、実績、信用、販売力であり。
未来に違いをもたらせるほどの力を、どっかから呼んでこなければいけない。
今自分達の元にその力が無いのであれば、グループとしてその力を求め続けながら、生き残らなければならないし。
終わりが来る前に力を呼ばねばならないし、そうまでしても続けようという動機がある集団でなければならない。
ボードゲーム作り、なかなかたいへんな作業だと思います。


で、何とか2005年のゲームマーケットで販売できる方向に向けて仕事いったり学校行ったりしつつ、暇を見つけては集合し、ガリガリと進めて参りました。
何とか生産した駒は塗料が生乾きでしっとりしていたので、メンバーの一人山根宅の網戸を外して横に渡し、その上に1個1個ビル駒を立てて乾かす、
みたいな作業を延々とやりました。春先で、乾燥を早めようと外に向けて戸が開け放たれ(ざるを得なかっ)た部屋は寒くて、
悲鳴を上げながら駒作業しましたねえ。
そして1セットずつ駒を詰めていく作業中、沢田が「この作業する人の給料は安くちゃだめだよなあ」と言ってたのを思い出します。

そんなさ中のゲームマーケット直前、1週間前位でしたかね。


https://toccobushi.exblog.jp/1774527/

集まった時、「ヒポダイス、大賞取りました!」という沢田からの言葉。嬉しかったですねえ。「まあ、そうだろうなあ!」と言いましたが。
上の通り沢田に「とにかくこれは宣伝はしとこう」と言ってブログに書いてもらい、当日持ってったら即完売しました。
自信はありましたが、驚きましたねえ。開幕直後、右の方からボードゲーマー達が僕らのブース向って全力ダッシュしてくる衝撃の風景、忘れられません。
(多分当時は開幕ダッシュ禁止という概念が無かったのですね…不要でしたから)

https://toccobushi.exblog.jp/1830568/

この後、ドイツ・エッセンで沢田が作って少し売ったり、ということがありましたが、正式に製品化…という話に進むには、長い時間を要しましたね。
2006年に吉田西山でビーツーエフゲームズとして起業し立川で店を始め、
2007年にエレメンツ・くいずですという形で初めてカードゲームの製品を出し、
2009年に問屋としてニューゲームズオーダーを始め、
2010年に「ぼくらの火星」を作ってエッセンでブース出展販売、
2012年の春にファブフィブを発売して問屋からメーカーへの重心移動の試み開始、2012年秋に古代ローマの新しいゲーム発売、
また2012年から2013年にかけ「第1回東京ドイツゲーム賞」を開催、という形で一つ一つ進めていきました。
ちょいちょい言ってることですが、ゲームの公募コンペをやらないかという沢田からの提案を自分が受けたのが東京ドイツゲーム賞で、
もちろんこれは「日本にもそろそろヒッポダイス的なやつあった方が良いだろうねえ」みたいな話から出たものでした。
おいそれと面白いゲームは来んだろうと高をくくっていたら枯山水と曼荼羅が来て嬉しい誤算となり、
メーカー本格化のため契約して準備していたモダンアートや交易王といった現在のNGO主要タイトルのリリースを連発し、
11月末のゲームマーケットで枯山水の発売にこぎつけたのが2014年でした。これももう5年前になってくるわけですね。
ここらへんの話は折に触れこのブログにガッチリ書いてきたので(最近はなかなか更新しませんが当時は勤勉に書いてました)
ご興味ある方は検索して読んでみてください。
ぼくらの火星の話とか、枯山水の話とか、我ながら結構面白い気がします…というか面白く書けるようにゲーム作りを進めてきてます。


で、2014年の流れの中で同じく沢田作の「ゴー・ストップ」を出す流れになったわけですが、そのきっかけをくれたのが橋口貴志さんでした。

http://www.b2fgames.com/article.php?s...2161202194
http://www.b2fgames.com/article.php?s...2180553216
http://www.b2fgames.com/article.php?s...4141942997

という感じで。で、このゴー・ストップをリリースした後、割とすぐに橋口さんに
「実はスクエアオンセールのアートワークもお願いしたいと思ってるんですが、いかがでしょう?」
というお話をしていました。2014年中の話です、なんと(笑)。
時の経つのは早いもので、足掛け6年になってしまい、橋口さんには気長にお付き合いいただき、本当に感謝しております。

と、ゲームマーケット前に書けるのはここまでということになりそうですが、
先刻何とか無事スクエアオンセール在庫が会場に向けて輸送手配された模様です。
とりあえずゲームマーケットにお越しの皆様とは会場でお会いするとしまして、
ゲームマーケット後に続きを書かせていただきます。よろしくお願い致します。

 

 

 


[#9] スクエアオンセールの一般販売予定とルールブックの若干の修正につきまして

ゲームマーケットが終わってからあっという間で、しばらく時間が空きました。
本日は書いていたスクエアオンセールの話の続きではなく連絡事項…ということで、

・スクエアオンセールの一般販売用出荷を6月10日頃開始します
・一般販売にあたり説明書の文言を若干調整した物に差し替えています

という2点になります。
出荷については現在取り扱い店様にご案内していますが、2点目のルールブック修正につきまして。

・5ページ目3行目 ×「1つ選んで置けます」→〇「1つ選んで置きます」
・5ページ目[手番を飛ばしてしまった場合の対応]…上記に伴い文言一部削除
・6ページ目のQ&Aの項目を2個追加

ということになります。ゲームプレイに大きな支障がある修正ではございませんが、一般出荷分からは説明書が差し変わっております。

http://www.newgamesorder.jp/games/squareonsale

上記のウェブサイトにあるPDFも変更したものに更新しております。
ご確認いただければゲームプレイ上の問題はほぼ無いかと思いますが、ゲームマーケットでスクエアオンセールをご購入いただいた方で、
修正後のルールブックをご希望の方はinfo@newgamesorder.jpまで「スクエアオンセール更新説明書希望」の題名でメールをいただき、
お送り先郵便番号・ご住所(建物名部屋番号まで)とお宛名(表札か郵便受けにご記載のもの)をお知らせください。
更新した説明書を郵送させていただきます。
なおこちらの郵送につきましては、2019年7月31日までにいただいたメールまでの対応とさせていただきます。
1か月余りで締切となりますのでよろしくお願い致します。

 

 

 


[#10] スクエアオンセールのお話、その3(いったん終わり)。

さて!随分と間が開いてしまいました(笑)。お陰様でゲームマーケットでスクエアオンセール発売の後、一般出荷も開始できました。
皆様にお楽しみいただけているのかな、という感触はありますので、一つ肩の荷が降りたかなという気分ではあります。

前回の続きの話になりますが、ニューゲームズオーダーでのスクエアオンセール製品化の話については、
橋口さんにお声掛けしたのは2014年…というあたりの話でしたね。発売まで、長らくかかりました。
その理由は…ということなんですが、一口に言うと「出すのがずっと難しかったから」ということになります。

ご存知の通りニューゲームズオーダーでは、2014年に枯山水を出して以降も色々とゲームを出版してきました。
その出版に持っていくまでの判断というのがNGOで自分の最も大きな役割ということになると思います。
自分が何をやっているかと言えば、「このゲームをこういう形で商業出版したら各方面に良いのではないだろうか」
ということを(割と誰に頼まれるわけでもなく)考え出して、何かしらの手がかりが頭の中に生じた所で具体化して、
製品化にこぎつけるという仕事なのですが…、その「これなら製品化、行けるかな?」という感覚が生じたものしか製品化していません。
というかできないんですね。何せゲーム出版、売れればお金増えますが、売れないとお金無くなっちゃいますからね(箱だけが大量に残る)。

ごく簡単に言ってしまえば、買って遊ぶ皆様が「喜んで買える」製品を作ること。
加えてそれが、自分達に収益ももたらし、ボードゲームというジャンルにとっても良いことだと感じられるということ。
買う側と売る側のメリットを併せ持ったものが作れれば製品化できる、仕事になる、ということなんですが、
言うは易しで、えらく難しいんですよね。
「とても良いゲームだけど、今製品化して仕事レベルの収益を上げるのは無理かな…」というゲームは枚挙に暇がありません。

スクエアオンセールについては、「メーカーとなった以上自分達で出版する」という課題については、
それこそ2014年より以前からずっと感じていたんですが、ずっと難しかったですね。難しいゲームです。
内容物が多くてコストがかかるものだし、テーマがあまり具体的でないのでその部分で魅力をアピールする間口を作るのは難しい。
そしてルールが生じさせるゲームも独特なので「どういうゲームですか?」と「一言アピール」を求められると、正直ほんと困る。

きょうび、この「どういうゲームですか?」という質問に体のいい回答のできるゲームが、商業的には優等生、という結論は出ているんですよね。
一言アピールの文句がイイ感じであれば、内容がそこまでメッチャ良くなくても売れる気がします。
その点言うと、スクエアオンセールは問題児でしかない。
一言じゃ説明できないもののやっていただけばわかるかと思います、というゲームなので。

2014年当時、具体的な出版に向けての動きを始めたのは「いい加減着手しなければ…」という思いもありましたし、
橋口さんが(自主的に)デザインしてくれたゴー・ストップを行きがかりで製品化させていただけた勢いを
スクエアオンセールにも転化させたい、という思いもありました。
「+αの力が無ければ、このゲームはずっと出せないんだろうなあ」というのが自分が持っていた感覚でしたので。

ただそこからも随分時間がかかりました。特に弊社側の出版スケジュールの事情もあって制作は断続的になり、
橋口さんにもご迷惑をおかけしました。
どうしても「良いゲームである上に収益が期待できるもの」が常に優先順位が先になり、それさえいつもギリギリでやってきました。
その中では、(常に考えていたものの)スクエアオンセールはずーっと後回しになっていました。
会社存続の上で、これは自分のやる気でどうにかなるような話では無く、どうしても優先順位を上げられる方法が思いつかなかったですね。
「出したけど全然売れないね、やんなきゃ良かったねアハハ」ってわけにはいかなかったですしね(笑)。

そんな感じで、ずっと徐行制作状態だったスクエアオンセールの出版に具体性を持たせてくれたのが、橋口さんにいただいたパッケージの案でした。



これを見た瞬間自分は「やっっと出せるわー!」という感覚を得ました。助かった!というのが率直な感想で。ホント有り難かったです。
ずっと商業的な実像を結ばなかったスクエアオンセールが、ようやく姿を得たというのがこの箱のデザインです。
買う方に「これ、欲しいな」と感じてもらえるスクエアオンセールの箱って、一体どんなんだろうな〜、
と暗中模索してきて幾年月という状態だったのですが、橋口さんにこの画像をお送りいただいた時「答え出た」と思いました。

素人目になりますが、このパッケージ、スクエアオンセールの「難しさ」と「楽しさ」の両面を、
最高に上手く表してると思うんですよね。「悩ましいけど楽しい」という以上に、「悩ましいのが楽しい」んだよ、というか。
「ボードゲーマーの頭の中」みたいなものを表しているのに、それでいてパッと見てもらってもカラフルで感じよく…、
ボードゲームを、ああでもないこうでもないと、うんうん言いながら遊ぶことそれ自体を、全面肯定してるような。

他のコンポーネントや、箱のサイズや、価格や、そういったものは、この箱を軸にして決めていった形です。
「この箱に入っているべき中身」というのを考えて作りました。これでめっちゃもうかる!とはやっぱり思いませんけどもね(笑)。
何とか出せる、総合的に判断すればNGOのラインナップに加えられる、そういう所まで、ようやくこぎつけることができました。

日本語版ということに限っても、びっくりする位たくさんのボードゲームが出てくるご時世になりましたけど、
こういうものは正直無いと思います。無くなってしまってるのかなと。
今回書いてきたような、「会社がソロバンはじいた上での通り一遍のボードゲーム出版」というものには、
1個限界来てると思ってまして。
なーんか絶妙につまらなくなりますよね。
(NGOというのはだからこそある意味意図的に、そういうことを頑張らないようにしていますが)
「仕事として考えるとまあこうなっちゃうわけです」という出版からは一層距離を置いていこう、
と思っておりますし、そのことを一つこのスクエアオンセールで示せたんでは無いかなと。
6000円が高いとお感じであれば買わないで良いのだろうと思いますし、
面白いボードゲームが欲しいという方にとってはお財布の中の6000円より明確に価値の高い箱なのではないかと思いますので、
当面売り場の一角に置いておこうと思います(笑)。

ということで一旦以上です。スクエアオンセールね。自分はもう、自分用かなと思うほど面白いと思ってます。
うんうん悩んで馬鹿笑いできるボードゲームです。…お、売り文句浮かんだ(笑)。ということでよろしければどうぞ。

 

 

 


[#11] 2013年組の増刷仕事到来。

先のゲームマーケットから発売したスクエアオンセールがお陰様で良いペースで出荷できておりまして、
さて次のボードゲーム仕事は…、と見渡すと、考えるまでも無くラインナップのいくつかが品切れになっている状況でして。

・古代ローマの新しいゲーム
・フォルムロマヌム
・ビッグチーズ
・ナゲッツ
・ボツワナ
・ゴーストップ

といったタイトルが、実は軒並み品切れもしくは品切れ間近です。
品切れは対応しなければいけない課題なのですけども、上記のゲームが品切れすることには一定の感慨もあります。
これらは2012年から2013年頃に発売を始めたものだからです。
2014年にモダンアート等で日本語版出版を本格化させて、さらに年末に枯山水を出してからニューゲームズオーダーが軌道に乗ってきた、
というのはそうなんですが、2012年〜13年の、製造と販売のサイクルを(割と色々無い所から)生み出した時間というのは、
その基礎になっていることは間違いありません。
2012年に出した古代ローマやフォルムといった所は1回で1000部の生産でした。
それに対し2013年のビッグチーズ・ナゲッツは3000部生産。
この3000部がすぐに完売しなくても、継続的に売れていって、いつかは売り切れて、そうしたら増刷して…。
そういうタイトルを同時にたくさん持っていけば、ゲームメーカーはできるようになる、
という(希望的観測を大いに含めだ)仮説が、自分達の方針の根拠でした。

ビッグチーズやナゲッツの3000部生産を決めながら(3000部にしなければ販売価格とコストの面が合いようが無かったんです)、
一方で「本当に全部売れるんかねこれは…」と我ながら思ってましたが、そしてその予想通りそうそう一気に売れてはいきませんでしたが、
リリースから7年目にして各3000部がほぼ売り切れました。
国内でのボードゲームの普及が進んだ後に発売したタイトルは、その勢いを受けて好調に売れたものがいくつもありますが、
まだまだ無風か微風だった頃に出したこれらが売り切れたのは、じんわりと良かったと思っております。

とは言え、これを増刷するのもそれなりに苦労のある一仕事なのですが(笑)。
売り切れて欲しい気持ちもありましたが、売り切れちゃうとしんどいな〜なんて一方の本音もあり。
権利関係上ボツワナのリストックは難しく感じているのですが、その他は増刷に着手していきます(あるいは着手しています)。
なお実はフォルムについては、クラマー側との話し合いで次回の増刷でいったんラスト、ということになりそうです。
「その内買おうと思ってた」と言う方は、次回増刷時にご購入いただくのがよろしいかと思います。
(そういいながら増刷分出荷再開時期が未定ですが…)

 

 

 


[#12] B2Fゲームズ店舗臨時営業日程のおしらせ

お世話になっております。
立川のB2Fゲームズ店舗の営業日程を以下の通り変更致します。

7月31日(水)臨時営業
8月1日(木)臨時休業

ご来店に際しましてはご確認をお願い致します。

 

 

 


[#13] 8月中旬の臨時休業日程のおしらせ

立川のB2Fゲームズ店舗の臨時休業日程のお知らせをいたします。

8月9日(金)
8月10日(土)

上記2日間を臨時休業とさせていただきます。
よろしくお願い致します。

 

 

 


[#14] 台風19号に伴う店舗臨時休業のお知らせ

台風19号の接近に伴い、各種公共交通機関の計画運休も発表されておりますことから、
B2Fゲームズ店舗は12(土)を臨時休業と致します。
13日は現状通常営業予定です。

 

 

 


[#15] 秋ゲムマに向けブログ再起動。

お久しぶりです。いよいよもってここの更新頻度もほぼ休止みたいな状態ですけども(笑)、
自分の中ではこのブログ、過去の物にしてほっぽっているつもりは全く無く、自分にとり自分達にとり、
何ら変わらず重要だと考えています。
ニューゲームズオーダー周辺での私たちの活動の実情を知るきっかけとして相変わらずよくあげていただけるのもありますし。
(結構全体的に熟読されたうえで立川に来られるような方もいらっしゃり有り難い限りです)
どちらかというと「書いてない」というか、今は黙っていようと思うから黙っているというような。
(いや間違いなく書いてないんだけど)
何か言うんだったら全体にメリットのあること、効くことを言いたいなあ、と思いつつ、
こうだだっ広くだらーんと界隈が広がってくると、なかなかそうも行かなく。
時間的にもそれなりに長くやってきて(ビーツーエフゲームズが2006年10月からですから)、
経緯が重なった分内外のコンテクストもすっかり入り組んでしまって、
色んなことをすぱっと言うのがどんどんたいへんな作業になってますので…、
何かの折に触れてえいやっと思い切り付けないと何も書き出せないんですよね(笑)。

で、じゃあ何で今日久しぶりに書き始めたかというと、そろそろ秋冬の新製品が出来上がってきたから、というのが結局の所です。
ニューゲームズオーダーの状況、自分達の今の気分を知っていただくのには、何より出してるものを見て触れていただくのが一番です。
リリースにあたっての「これはどういうつもりかというと…」と言う話は、
自分も本来言いたがりですからしっかりと書かせていただくつもりでございます。

確か、昨今のボードゲームの出版、遊ばれ方等々に関して思うことは「もっとホイップを!」
のリリースあたりで結構ちゃんと言ったような…、記憶があるので(次回までに自分が書いたやつを読み返します)、
その上でどうしましょうかね、皆さんにどんな感じのをお届けしましょうかね、
嬉しいですかね楽しいですかね役立ちますかね売れますかね、ねえホントにね、というあたりを考えて参りたい。
ま、自分達が良いと思いつつ売れ行きも良い、そんな素敵なアイテムを商業の軸にしつつ、
売れないけど絶対良い、と思う物のリリースを強行していってしまおう、という路線は変わらないというか明確になるばかりですが。
次に出すゲームは売れ行きに関して諦めてるとは言わないですが(むしろ商業的ポテンシャルだって高い気もする)、
でも売れなくても何とかして出すよねこれは、という感じのゲームです。

と予告を売っておいて、次回(ちゃんと近日書きます)その来月のゲームマーケットでリリースするボードゲームのお話をしようかと思います。
工場から東京港に入ってくるスケジュールが出ていたので、
輸送でホントにトラブらなければちゃんとゲームマーケットのNGOブースで初お目見えするはずです。
(あと製造でも大幅にやらかしてなければ…良いですねホント)
売れて欲しいなあと思いつつホントは売れるかどうかなんぞわからんわけですが、
でもこのゲームを今なお出せるというのは嬉しいという気持ちが強いので自分は今楽しみです。

それでは、ともあれ次回更新をお待ち下さい…、ってこれはTwitterにリンクを貼らなくても読んで下さっている少数の方々へのメッセージですな(笑)。
また来週(くらい)!

 

 

 


[#16] 店舗臨時休業のお知らせ

立川のB2Fゲームズ店舗につきまして、11月7日(木曜日)の営業を臨時休業とさせていただきます。
ご来店の際はお間違えの無いようよろしくお願い致します。

 

 

 


[#17] 予定を変更し、ゴー・ストップ改版の話を少々。



http://www.newgamesorder.jp/games/go-stop-1

ええ前回ゲームマーケットでの新製品の話を次回しますと申し上げたんですが、
話の順序的に今回は「ゴー・ストップ」の再入荷の話をさせていただきます。

沢田が手作りで作ってゲームマーケットで初めて売ったのが確か「2005年」ですから、
(↑2003年かと思ったら記憶違いでした。沢田くん本人からの指摘により修正しました)
割と根強く居残っているこちらのゲームですが、もう一つ言うと品切れ再生産するたびに
何故かちょっとずつ仕様を変えてきている形になっておりまして、
(そういうプロデュースとかではなくたまたまなので自分達でもちょっと不思議なんですが)
この度のバージョンは4版にあたります。
これに伴い販売価格を税抜1400円とさせていただいております。
仕様の変更としては、

・箱サイズをコヨーテと同等サイズに変更
・中の得点カードやプレイヤー識別カードをタイルに変更
・プレイヤーの勝数を表示する為のチップ追加(両面で「1勝」「2勝」と表示できるもの6枚)

という形になっています。
内容物の変更としてはプレイアビリティの地道な向上、というのが今回の改版の眼目です。
ゴー・ストップは短時間、シンプル、スピーディで盛り上がる、というところに長所があるゲームですが、
そのゲームプレイの中で間違いなく「カードをめくって伏せてめくって伏せて引き取ってめくって伏せて」
といったことをひっきり無しに繰り返すゲームです。
その中で、「絶対問題」という程ではないけどやや気になる課題として、
「リズム良くやってると場に置いておくカードと手札に入れるカードをあせって混同しわちゃわちゃしてくる」というハードルがありました。



今回の改版で有効な変更の一つは、地味ですが識別カードのタイルへの変更です。
プレイヤーの手札となるカードは六色のプレイヤーカラーで誰のカードなのか判別する形になっています。
手札とは別に手元に残してプレイヤーカラーを示しておくものとして識別カードがあったわけですが、
この識別カード、プレイヤーの手札と同一サイズでデザインも似ていたため
「わちゃわちゃやっている内に間違えて識別カードを手札に持ってしまう」というのがありがちなことでした。
もちろんすぐに「あれ?」と気付き、苦笑いしながら手元に置き直すだけなんですが、これで一瞬ゲームが止まるのは確かなんですよね。
ということで、識別カードを厚紙にしました。各段手札とは間違えにくくなると思います。
これに伴い、得点カードの方もタイルにしました。これはゲームの意味上というよりは、
獲得を目指す対象ですからちょっと分厚くしておいたら嬉しいかなということであわせて変更しました。



そしてもう一つの変更が勝数チップの追加です。
ゴー・ストップは3本先取のゲーム(まあ好きな回数気が済むまで遊べばいいんですが)ということですので、
今誰が何勝しているか表示できた方がより良いかなということで。
メモする程ではないし、気にすれば憶えておけるとは思うんですが、
「誰が2勝しててリーチ掛けてるから…」みたいなことが全員に明示されている、
その情報が共有されていることがしっかり期待できるようになると、
心理戦を楽しむ上ではこれも地道な向上なんではないかと思っています。
あと勝ったら手元にチップもらえるよ、というのは着実ですがこういうカジュアルゲームにはあって嬉しい要素かな、ということも。

という変更との兼ね合いから箱もコヨーテと同一サイズにさせていただきましたが、
「この箱サイズにすること」自体も勿論今回の改版の目的ではあります。
現在国内でのボードゲーム販売が広がってきた結果、売り場もある程度形が整ってきて、
従来の小箱だとどうしてもきれいに並べてもらうのが難しいんだな、という実感を得ていました。
あとこれは内部的な話ですが、以前のゴー・ストップには専用カートンが設定されておらず
全てバラ単位の受注となっており、管理上の手間からどうしても取り扱いや販促の優先順位を下げてしまう、
という事情もありまして…、コヨーテ等と同じ、カートンに40個入っていてその単位で出荷する、
というNGOが確立してきた標準に合わせる施策を取りました。

ゲーム内容としては、今改めて多くの方に遊んでいただくのにいいゲームなんじゃないかな…、
と期待するところは大きいですし、あと大切なのが、これだけボードゲームが広がってくると
「あ、ゴー・ストップね、前の版持ってるよ」「そのゲームやったことある」って人より、
「何そのゲーム、知らないけど?」という人の方が常に多い状態なんですよね。
本当に、日々新たに遊び始めていただける状況が続いていますから。
ですから、ゴー・ストップをまだ知らない方々にしっかり認知してもらいうる形を取り直しての再販としました。
ボードゲームの出版事業、次々と新しいのを出していく!みたいのが華々しいし勿論大ヒットのチャンスもあるのかもしれませんが、
過去に自分達が出した物を地道に改善して再供給、みたいなのはやっぱり欠かせないなあ、と思ってやっております。
ということでゴー・ストップ、改めてよろしくお願いします。

 

 

 


[#18] ゲームマーケット19秋にて、「セネターズ」日本語版を発売します。


次回ゲームマーケットで新発売予定のボードゲーム、用意してるよ!
と言いつつ微妙に発表に時間を取ってしまったのは、(毎度のことになってしまってますが)現物が弊社に入っていないためで…。
東京港での通関が今終わった辺りで、来週月曜日に入荷予定です。現物を確認して「発売可能」と判断してから発表したいのが本音なので、
(売れない出来の物が来るかもしれないので…)このタイミングで言い出すのも躊躇するんですが、もうすぐ1週間前ですからね。
お知らせさせていただきましょう。

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ハイグ・タータ&リッキー・タータ作のボードゲーム「セネターズ」日本語版をゲームマーケット2019秋にて発売致します。
http://www.newgamesorder.jp/games/senators
(↑弊社ウェブサイトにルールPDFをアップロードしております)

希望小売価格は税込3850円(税抜3500円)を予定しています。ゲームマーケットでは3800円で販売します。
プレイ人数は3〜5人、プレイ時間は40〜60分。箱は弊社モダンアートと同一サイズです。
アートワークはフランス語版出版社のフェルティ版と同じものを用いています。

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…ということですが、皆様このゲームをご存知でしょうか?
おそらくは、こちらをご覧の九割以上の方はご存じ無いゲームかなと思います。
「いや、当然遊んだよ」「勿論チェックはしてるがあいにく未プレイ」といった特に熱心なボードゲーム愛好者の方々、
人数ベースでは増えてるとは思うんですが、何分現在国内で出回っているボードゲームのタイトル数が驚くほど増えているので、
知らなくても全く不思議は無いと思います。

というかそもそも私自身、数か月前に「遊ぼうと思いつつ積んでたので」と沢田くんが持ってきたので、
たまたま遊ぶ機会を得たという次第です。たしか少し前のエッセンで入手してきたと言っていたでしょうか。

初版が発表されたのが2017年、作者は「クー」の作者のリッキー・タータがお父さんのハイグ
(ヘイグと読むのが正確かも…)と共に作ったゲームです。
(詳細までは把握していないんですがハイグさんの原案を元にリッキーさんと協力して完成させたという感じでしょうか)
沢田が持ってきたバージョンはIndie Boards&Cards
のロゴが付いた英語版でした(おそらく2018年に出版されたもの?)。



勿論クーの作者のチームだというのは私達が注目する大きな理由でしたし、
加えて私達が(プレイヤーとしてもパブリッシャーとしても)求めてやまないルール短め1時間級のボードゲーム、
ということで、沢田や他の参加者と共に相応の期待を持ってやってみました。
と言っても、過去に同様のシチュエーションで遊んだゲームが全くの空振り、なんてこともありましたから、
期待と同じだけ駄目だった時の覚悟もしながら…ということではありますが(笑)。

ただ、結論としては!プレイした日の内に日本語版の権利取得の打診をしたわけです。即決でした。これはもう遊んだ全員、満場一致。
ボードゲーム出版や流通を取り巻く状況の変化もあり、自分達としては新たなリリースには大分慎重になっているのですが、
セネターズは「これは今すぐ出さにゃならんな!」と思わせてくれるボードゲームでした。
10年20年と堆積してきた名作の中にはご紹介したいボードゲームもまだまだありますが、
ここ最近発表され触れた物の中で、こんな新鮮な感覚がもたらされたのは、久々です。

内容としては、言葉にしても、結果これがどれ程のゲームになっているか伝えるのは本当は難しいんですが、
ある程度ご想像いただける部分もあると思いますので、がっと概要を書いてしまいましょう。

●古代ローマの元老院での権力争いをテーマにしたゲーム(NGOはどれだけ古代ローマが好きなのか…たまたまです)
●4つの市場で売りに出されるカードを入札オークションで争奪
●売り物の大部分である54枚の「資源カード」(6色、各1〜9が1枚ずつ)を効率よく集めるのが手近な目標
●入札オークションの落札者は代金を主催者(手番プレイヤー)に支払う
●競りの主催者には優先購入権があり、最高値を付けたプレイヤーに逆にその額を支払えばそのカードを獲得できる
●「同数値3枚」か「同色3枚」を手元に集めこの三枚組を手番の「清算」アクションで売却できればその合計値と同額のコインを獲得
●「同色かつ数字が連番の3枚」を売れば合計値に加え15コインのボーナスを得られる(大事)
●手番で生産を行った際は10コイン支払う度に元老院議員1人の支持を獲得できる(1点獲得)
●手番で選べるアクションとして「強請」という他のプレイヤーの所持カードを提示額で買い取ろうとする攻撃方法がある
●強請による買取を断る方法は提示された額を逆に相手に支払って帰ってもらうというもの
●強請による扱いを経た資源カードはプロテクトされ、以降強請の対象にならなくなる(伏せられる)
●4つ目の市場(正確には「元老院」という名称)で売り出されるのは資源カードではなく「元老院カード」という特殊効果カード
●元老院カードの効果は清算時に使用できる(相当華々しい)
●しかしながら元老院カードも強請の対象になる(所有者が変わる)
●元老院カードは強請を経てもプロテクトされない
●そして各プレイヤーの手番の開始時には「イベントカード」が1枚めくられ適用される(これも激しい)
●イベントカード「戦争」の4枚目がめくられたらゲーム終了
●終了時に最も多くの議員の支持を獲得していたプレイヤーの勝ち

イベント→手番プレイヤーのアクション選択(「入札」か「強請」か「清算」)、という2ステップがゲーム終了まで繰り返されていく、
そして大半の手番で選ばれる入札には全員が参加する、ということで、どんどん起こってくる激しいイベントに対応、
頻繁に行われる入札オークションで資源カードを集め金を引っ張り合い、
誰かが三枚組を上手く揃えそうになってきた頃合いで強請によりまたカードやお金の取り合い、
その間隙を突いての清算でお金や点を得る、といった調子で、
シンプルなルール+1時間以内のゲームとは思えない波乱の展開が巻き起こります。
ボードゲームを(年数等かかわらず)熱心に遊ばれてる方で、「これは!」という一作を探し求めている皆様には、
このセネターズ、大いにご期待いただいていいかと思います。

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過去に「クー」の日本語版を出していた縁もありリッキーさんにすぐメールを出した所、
早々に日本語版出版について前向きな返答をいただけました。
ただライセンス管理についてはフランスのフェルティ社に任せている、ということで、それならと取り急ぎフェルティ社に連絡し、
諸条件についての調整はありましたが無事日本語版の出版契約を完了できました。
初版の出版以降ルールの細かなアップデートや拡張ルールのカード追加等があったためそちらは反映したバージョンになっています。
アートワークについては検討の結果フェルティ版を採用しています。
内容物についてもフェルティ版を踏襲しつつ、以下の通り微調整しております。

・箱厚みを少し増す(弊社モダンアートと同一寸法となっています)
・ついたてを大きくする(フランス語版はやや小さすぎるように感じたため、これもモダンアートのついたてと同寸法に)
・カードの厚み増、エンボス加工(アートワーク自体は非常に良かったので製造面で強化)
・ボード、コインマーカーの厚み増
・中敷きを整備、内容物を収まりを良くする

リリースされている物で既に非常に良かったわけですが、ニューゲームズオーダーとして出す上で、
「こんなポテンシャルの高い物なら、かけられる予算内でさらに磨こう」と判断し、
内容物個々に少しずつコストをかけた形になりました。
ここで「安ければ安い程良い」という方針を取れば売価をもう200円くらいは削れたのかもしれませんが、
ゲーム内容のことを考えると、それで損なわれるものはもったいないように思い、このようにさせていただきました。

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「セネターズ」、結局何がそんなに良いのか…という思いの部分を申し上げると、このゲーム自体のことに留まらず、
自分の思いとしては、国内外でのボードゲームの作られ方、売られ方、遊ばれ方…という所まで話が及んでしまって切りが無いんですが、
できるだけこのゲームの中の話で行きましょう(笑)。

3000円代という、手頃な価格。
箱の小ささ、携帯性。
ルールの短さ(コアルールは余裕を持ってA5サイズで5ページ以内です)。
価格に比して満足感のあるコンポーネント。
王道のアートワーク。
適切なプレイ時間。
適切な卓上の共有情報量。
密度の高いインタラクション。
波乱を巻き起こすイベント。
それらの見事な融合。

要点としては、こうなります。まとめて言ってしまえば、「コストパフォーマンスが極めて高い」。

過去にも何回か話題にしていますが、ここでいうコストというのは、入手の際の金銭的出費のみのことではありません。
ボードゲームを遊ぶ上でプレイヤーの皆様が負う、多岐に渡る労力や心理的負担を含めたものです。
上記で言えば特に価格、ルール量、プレイ時間といった所が皆様のコストに深く関係することになるかと思います。

ある程度このジャンルのボードゲームを遊んでいる皆様ならば重々ご承知のことと思いますが、
ボードゲームというのは、高い物、箱の大きい物を選ぶ程に大きな、そして良質な楽しみが得られるわけではありません。
野菜や果物を買う時のコツみたいなもので、「身が詰まってるのか」に注目するのが重要になります。

その点で言うと、この価格、大きさ、ルール量、ゲーム時間でこれだけのゲームを今作ってくれたことに、タータ親子への感謝しかありません。
短いルール、本当に良いです。年経るごとに思いますが、よっぽどのことが無い限り何十ページもあるルールブックはイヤですね(笑)。
NGOならば長年にわたりご好評いただいているコンコルディアにも言えますが、
短いルールを基礎に奥深いゲーム展開が実現されている、というのは、このジャンルの根幹を成す価値だな、と改めて実感しました。

あわせて卓上の共有情報量、ということを挙げましたが、これはルールの分量増大と共に愛好者向けゲームに昨今選ばれ(てしまい)がちな、
「卓上の情報を量的に激増させて1回では把握しきれなくさせる→それをリプレイのし甲斐だとする→定跡等を生み出させる」
というゲームデザイン方法から距離を置くものです。量的には十分余裕を持って「全容を把握できる」ゲーム。
自分が把握できるというだけでなく、全員が把握している、お互いが状況を把握しているということを了解している。
お互いが状況、形勢をわかっている、というコンセンサスの上で、カードやお金をやり取りする駆け引きこそ、ボードゲームの醍醐味、というのが、
ニューゲームズオーダーの基本姿勢です。そしてそれは自分の知る限り、ドイツから発してきたボードゲームデザインの考え方です。
把握できた度合いを競うのでは無く、把握したものをどう解釈するか、どう活用するかということで勝敗を決めたい、決めていただきたいんですよね。

セネターズの形勢は、得点(元老院議員からの支持)と、カードの集まり具合、そして所持金で示されますから、
(お金はついたてに隠れますが、互いの懐具合はざっくりわかるはずです)その土台の上で是非楽しく戦っていただければと思います。

プレイヤーの手番の度にめくられるイベントカードについては、これもなかなかのっぴきならないです。
この要素が、先行しているプレイヤーの「安定優位」みたいなものを大いに脅かしてくれます。
何せ毎手番、矢継ぎ早にめくられますからね(笑)。
こういったイベントの荒波がもたらす一寸先は闇の展開、で1時間というのは、私がボードゲームに望む楽しみの時間そのものです。

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雑感としては、こんな感じです。セネターズ、率直に申し上げれば…皆やってみたら良いと思います(笑)。
ボードゲームが滅茶苦茶たくさん出ていて、どれがどれやら、面白いのがどこにあるやら右往左往、
って状況だと思いますが、NGOで1個見つけておきました。
カードにテキストがあるゲームではありますから、日本語版にしておきました、ということですので。

内容はなかなか激しいので、予想として「初心者にはお勧めしない」とか「人は選ぶ」とか言われそうな気もするのですが、
いや全然初めての人にもやってみて欲しいです。人は選ぶのかもしれないですけど、「きっと自分にはできない」と思う必要は無いです。
ルールは短いですから。時間もそこまで長くはない。価格も3000円代。お試しいただける物として、準備しました。

こういうゲームを、ボードゲームの面白さに気付き始めた、たくさんの人にぶつけてみたいんですよね。
新しくボードゲームを遊んでいる方々、それは勿論色んな方がいらっしゃる。「初心者」なんていう均質な人たちがいるわけではない。
ただ自分が日々そういった方々とお話させていただいていて、既存の人達、自分達が認識している以上の、
ボードゲームを遊ぶことへの情熱であるとか、ガッツであるとかを感じることが多いんですよね。
「この人たち、思った以上にボードゲームを好きになってくれてるんだな…」って、びっくりすることもしばしばです。
遊んでる年数なんて関係ない。勝手に半人前扱いして手加減したやつ薄めたやつを勧める必要なんて無いよと。
無駄にルール長くて時間長い眠たいやつを繰り出すなよってことです。
絶対面白いやつなら、当人がその気なんだったら、一緒に遊べばいいと思います。
そういうシチュエーションで最初っから一緒に楽しめるゲームこそ、本来ユーロボードゲームのトップのやつのはずです。

だからセネターズ。ニューゲームズオーダーとしては、今これです。
一方で商業的な計算もしていて、こちら初版2000部のみで作ってます。
売れ行きとしてはそこそこかもしれない(結局セネターズは「小さいつづら」だから)、とも思うし、
2000部で利益が出るように作れるようになったことは、会社としての進歩ではあります。

でも、この2000部がとっとと売り切れてくれたら嬉しいなあ、と思いつつ、ゲームマーケットで発売します。
今のボードゲーム商業の状況、何とか変えたいですね。
できれば先に試遊して、とかではなく、自分が一番好きなゲーム仲間と、全員初プレイ、と言う状態で遊んでみていただきたいです。
感動する準備をしておいてくれ(笑)。


…さて、と言いつつ自分もまだサンプルでしか現物を見てないわけなので…。
来週月曜日、無事来るといいなあ(笑)。首尾よく無事なものが来ましたら、当日は皆様よろしくお願い致します。

 

 

 


[#19] ゲームマーケット出展に伴う店舗臨時休業のお知らせ

11月23日(土)と24日(日)はゲームマーケット2019秋への出展のため、立川のB2Fゲームズ店舗を休業致します。
よろしくお願い致します。

 

 

 


[#20] ニューゲームズオーダーのボードゲームの自社通販を開始します。



表題の通り、本日は「ニューゲームズオーダーのボードゲーム/カードゲームの自社通販開始」のお知らせです。
↓下記のURLが通販サイトになります。

https://ngoeshop.thebase.in/

※現行の弊社希望小売価格での販売です。
※税込6000円以上ご注文の場合送料無料となります。

今までニューゲームズオーダーとしては、東京立川のB2Fゲームズでの店頭販売やゲームマーケットなどのイベント販売を除き、
小売販売を自社で行わない方針を取ってまいりましたが、それをこの度変更させていただくことに致しました。
理由は大きく以下の2つです。

1. 一部のカードゲーム製品等にコピー商品が流通してしまっていることへの対応策として
2. ニューゲームズオーダーのゲームラインナップを一通り並べた売り場を設置するため


1. コピー商品対策

日頃よりボードゲームをネットで購入される機会の多い方であればご存知の方も多いかと存じますが、
昨今人気の高いカードゲームを偽造したコピー商品が出回ってしまっている現状がございます。
弊社のカードゲーム「コヨーテ」もその一つです。
先般お知らせした通り商標登録出願や当事者の取扱業者様との対応協議を行い防止に努めておりますが、
完全な解決という状況には依然至っておらず、ご不便ご迷惑をおかけしております。

現状弊社のゲーム出荷はボードゲーム専門店のみでなく、様々な一般売り場向け卸問屋への出荷が増えております。
結果として私達自身、弊社のゲームを販売している全ての売り場を把握しているという状況では無くなっています。
ほとんど全ての売り場においてコピー品が置かれている事実は無いのですが、間違いなく確実とご案内できる売り場として、
弊社自身の売り場を作らせていただくことにした次第です。

ニューゲームズオーダーのボードゲームを購入されるのは、年を追うにつれ、既存のボードゲームプレイヤーの皆様から、
新たにボードゲームを遊んでみようと新たに手を伸ばされる方々に移り変わっているように認識しています。
(もちろん先般リリースしたセネターズ等、愛好者の皆様に顧みていただける出版も続けていますが、売り上げ全体の割合としては推移しています)
新たにご購入いただける方々程「どこでゲームを購入するか」ということについての情報が乏しいという認識を持っておりますので、
しばしばいただく「どこで買えば確実ですか?」というご質問に対し、弊社通販が回答となればと考えています。


2. ニューゲームズオーダーの現行ゲームが全て並んでいる売り場として

もう一つ、こちらの理由が非常に大きくあります。
ご存知の通り昨今、日本語版に限っても各社から非常に多くのボードゲームがリリースされている状況となっています。
これにより、特にボードゲーム専門店では商品点数により売り場が圧迫される事態が生じており、
既存商品を整理して陳列していただくのが非常に難しい状況となっております。
非常に流れが速くなっていて、一定の評価を受けたようなゲームでも、
ニューリリースと呼べる時期を過ぎるとすぐに売り場から押し出されてしまう。

私どもは2012年に本格的な日本語版生産を始めた当初から
「50個ほどの良質な自社製品ラインナップを作って、これをいつでも購入できるように維持に努めていく」
という方針を持って参りました。
非常に道は険しかったものの、ようやくそういったラインナップを実現できたのですが…、
これを今売り場で一まとめに陳列していただけていることは、ほとんど無いのではないかと思います。

現に弊社がリリースしているゲームでも、純粋な面白さといった所とは別に、売れ行きの差は想像以上に大きい物があります。
「そんなに売れるの!?」とどなたにも驚かれるほど好調に売れ続けるゲームがある一方、
「売れ行きとしてはほぼ停止」という状況のものまであります。
「えっ、あの傑作が今はほとんど売れないの!?」と、これまた驚かれるのですが(それは有難い評価ではありますが)、
その要因には新たなお客様にとり「そもそも売り場で見かけない、出会わない、存在を知る機会が無い」
ゲームになってしまっているという側面もあると考えています。
現にゲームマーケットで一通りのラインナップを並べて販売しますと「見たことないゲームがたくさんある」
というお声を頂戴することが近年増えてきている実感があります。

自分達が出してきたゲームに今一度光を当てられるのも自分達、という思いがあり、今回改めて自分達で売ってみたいと考えました。
例えばこの度久々にフォルム・ロマヌムを再販する運びとなりましたが、最初の日本語版リリースが2012年秋、ってもう7年前ですからね(笑)。
すごい時間が経っている。

差し当たりはシンプルに販売できるようにウェブショップを作った…、という段階ですが、今後可能であれば一つ一つのゲームにつきまして、
そもそもどういうゲームかという改めてのご紹介ですとか、日本語版出版の経緯について振り返りですとか、
1個1個スポットを当て直してみたいな、という思いもございます
(新規リリースの仕事も依然あるのでホントにちゃんとやれるのか…という話もありますが、極力本腰で、そう思っております)。


…というわけで、ニューゲームズオーダーのボードゲーム、今日様々な所でお買い求めいただけるようになりましたが、
ニューゲームズオーダーの自社通販でも買えるようになりましたよ!というお知らせでした。
私達がよく配っているカタログに載っているゲームで気になるのがあったけど、どうも売ってる所を見かけない!
というような場合はよろしければご利用ください。
よろしくお願い致します。

 

 

 


[#21] B2Fゲームズ店舗の年末年始の営業日程について

立川のB2FGames店舗の年末年始の営業日程は以下の通りです。

28(土)年内最終営業日

12/29〜1/2は休業致します。

3(金)2020年初営業日

4(土)以降通常営業といたします。
よろしくお願い致します。